医師監修:金光 廣則 先生
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。AGA治療を検討される方は、必ず医師にご相談ください。治療効果には個人差があります。
デュタステリドは、「ザガーロ」の商品名で2015年に日本でAGA治療薬として承認された内服薬です。フィナステリド(プロペシア)よりも強力なDHT抑制効果を持ち、フィナステリドで十分な効果が得られなかった方への切り替え薬としても注目されています。
本記事では、デュタステリドの詳しい効果、副作用、フィナステリドとの切り替え方について解説します。
デュタステリドの作用機序
AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)は、テストステロンが5α-還元酵素によって変換されることで産生されます。
この5α-還元酵素にはⅠ型とⅡ型の2種類があります:
- Ⅰ型:皮脂腺、肝臓などに広く分布
- Ⅱ型:毛包、前立腺に多く存在
フィナステリドがⅡ型のみを阻害するのに対し、デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型の両方を阻害します。この「デュアル阻害」により、血中DHT濃度を約90%以上抑制するとされています(日本皮膚科学会ガイドライン 2017; 添付文書情報に基づく)。
デュタステリドの効果:臨床エビデンス
デュタステリドの有効性は、複数の大規模臨床試験で検証されています。
Eunらのランダム化比較試験
アジア人男性を対象としたEunらの臨床試験(2010年)は、デュタステリドの効果を検証した重要な研究です。
試験デザイン: - 対象:軽度〜中等度の男性型脱毛症を有するアジア人男性 - 投与群:デュタステリド0.5mg/日、フィナステリド1mg/日、プラセボ - 期間:24週間
主な結果: - デュタステリド群はプラセボ群に対して有意な毛髪数の増加を示した - デュタステリド群はフィナステリド群と比較しても、より多くの毛髪数増加を示した - 頭頂部における改善が特に顕著であった
(Eun HC et al. J Am Acad Dermatol. 2010;63:252-258. PMID: 20605255)
メタアナリシスによる比較
Guptaらの系統的レビュー(2022年)では、経口ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドのAGA治療効果を比較しています。この解析においても、デュタステリドはフィナステリドに対して発毛効果の面で優位性を示しました(Gupta AK, Talukder M. J Dermatolog Treat. 2022;33:2946-2962. PMID: 35920739)。
デュタステリドの副作用
デュタステリドはフィナステリドと同系統の5α-還元酵素阻害薬であり、副作用のプロファイルも類似しています。
主な副作用
- 性欲減退:臨床試験では数%の頻度で報告(日本皮膚科学会ガイドライン 2017; 添付文書情報に基づく)
- 勃起機能障害(ED):同様に数%以下(日本皮膚科学会ガイドライン 2017; 添付文書情報に基づく)
- 射精障害:まれ
- 乳房の張り・圧痛:まれに報告あり(日本皮膚科学会ガイドライン 2017; 添付文書情報に基づく)
フィナステリドとの副作用比較
DHT抑制力がより強いデュタステリドは、理論的には副作用の頻度がわずかに高い可能性がありますが、大規模な臨床試験では副作用の発現率に顕著な差は認められていません(日本皮膚科学会ガイドライン 2017; 添付文書情報に基づく)。
注意すべきポイント:長い半減期
デュタステリドの最大の注意点は、半減期が約3〜5週間と非常に長いことです。これは以下の点で重要です:
- 副作用が出た場合、薬の効果が体内から消えるまでに長期間かかる
- 献血は最終服用から6ヶ月間禁止
- 薬の切り替えや中止の際は、計画的に行う必要がある
この半減期の長さを理解した上で、治療を開始することが大切です。
フィナステリドからの切り替え
フィナステリドで十分な効果が得られない場合、デュタステリドへの切り替えが検討されることがあります。
切り替えを検討するタイミング
フィナステリドからデュタステリドへの切り替えが検討されるのは、主に以下のケースです:
- フィナステリドを6ヶ月以上服用したが、十分な効果が得られない
- 治療初期は効果があったが、時間経過とともに効果が減弱した
- より高い発毛効果を求めている
切り替えの方法
切り替えは通常、フィナステリドを中止した翌日からデュタステリドの服用を開始する形で行われます。フィナステリドの半減期は6〜8時間と短いため、ウォッシュアウト期間(薬抜き期間)を設ける必要はありません。
ただし、切り替え後に初期脱毛が再度起こる可能性があるため、その点は事前に理解しておく必要があります。
切り替え後の効果判定
デュタステリドへの切り替え後も、効果を判定するには最低6ヶ月の継続服用が推奨されます。焦らずに経過を見守りましょう。
デュタステリドの服用方法
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用量 | 1日1回 0.5mg |
| 服用タイミング | 食事の有無を問わず、毎日同じ時間帯 |
| カプセルの取り扱い | 中身が口腔粘膜を刺激する可能性があるため、噛まずに飲む |
| 効果判定の目安 | 最低6ヶ月の継続服用 |
デュタステリドの費用
| 種類 | 1ヶ月あたりの目安 |
|---|---|
| ザガーロ(先発品) | 約8,000〜12,000円 |
| デュタステリド(ジェネリック) | 約4,000〜7,000円 |
※ AGA治療は自由診療のため、健康保険は適用されません。クリニックにより価格は異なります。
近年はオンライン診療の普及により、自宅から手軽にデュタステリドの処方を受けられるようになりました。noah™のオンライン診療では、医師の診察から薬の配送までを自宅で完結できます。
使用上の注意
デュタステリドを安全にご使用いただくために、以下の注意事項を必ずご確認ください。
使用できない方
- 女性(特に妊婦・妊娠の可能性がある方は絶対禁忌)
- 未成年者
- 重度の肝機能障害がある方
- デュタステリドまたは5α-還元酵素阻害薬に過敏症のある方
カプセルの取り扱い
デュタステリドのカプセルは、皮膚からの吸収が起こりうるため、カプセルが破損した場合は女性やお子様が直接触れないよう注意してください。
ガイドラインでの推奨
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」において、デュタステリドは男性AGAに対して推奨度A(強く勧める)に位置づけられています。フィナステリドと同等の推奨レベルです。
また、Ohyamaらによる最新の日本皮膚科学会ガイドライン(2025年)でも、デュタステリドの有効性が確認されています(Ohyama M et al. J Dermatol. 2025. (日本皮膚科学会 男性型脱毛症診療ガイドライン 2017))。
よくある質問(FAQ)
以下に、患者様からよくいただくご質問とその回答をまとめました。
Q1. デュタステリドはフィナステリドよりも副作用が多いですか?
理論的にはDHT抑制力が強い分、副作用リスクがわずかに高い可能性がありますが、臨床試験では両者に大きな差は報告されていません。個人差がありますので、気になる症状があれば医師にご相談ください。
Q2. デュタステリドを飲み始めて抜け毛が増えましたが大丈夫ですか?
治療初期の一時的な抜け毛(初期脱毛)は、ヘアサイクルが正常化する過程で起こりうるものです。通常1〜2ヶ月で治まりますが、長期間続く場合は医師に相談してください。
Q3. デュタステリドの服用中に子づくりは可能ですか?
デュタステリドが精液を介して胎児に影響を及ぼすリスクについては、現時点で十分なデータがありません。子づくりを計画される場合は、事前に医師にご相談いただくことを強くお勧めします。
Q4. フィナステリドに戻すことはできますか?
はい、デュタステリドからフィナステリドへ戻すことは可能です。ただし、デュタステリドの半減期が長いため、体内から完全に排出されるまでに時間がかかります。切り替えの際は必ず医師と相談してください。
Q5. ザガーロとジェネリックのデュタステリドに違いはありますか?
有効成分と用量は同じです。ジェネリック医薬品は先発品と同じ品質基準で製造・承認されています。費用を抑えたい場合はジェネリックの選択も合理的です。
関連記事: [AGA(男性型脱毛症)とは?原因・症状・治療法を徹底解説(JP-N-AGA-P1)]
本記事の内容は2026年4月時点の情報に基づいています。最新の医学情報については、担当医にご確認ください。


.webp)






