記事ID: JP-N-WL-04 更新日: 2026年4月
カテゴリ: メディカルダイエット / GLP-1
⚠️ 医療に関する注意事項 本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスを構成するものではありません。副作用が気になる場合は、必ず処方医にご相談ください。自己判断での減量・中止は避けてください。
はじめに
GLP-1受容体作動薬を用いたメディカルダイエットを検討する際、多くの方が気になるのが「副作用」です。「吐き気がひどいと聞いた」「お腹の調子が悪くなるのでは?」——こうした不安は自然なことです。
本記事では、大規模臨床試験で報告された副作用データをもとに、GLP-1受容体作動薬の副作用の実態と、それぞれへの具体的な対処法を解説します。正しい知識を持つことで、安心して治療に取り組むことができます。
臨床試験で報告された主な副作用
GLP-1受容体作動薬の副作用は、主に消化器系の症状です。3つの大規模臨床試験のデータをもとに確認してみましょう。
STEP 1試験(セマグルチド 2.4mg)の副作用データ
セマグルチド2.4mg群(n=1,306)で報告された主な副作用:
- 吐き気(悪心): 44.2%
- 下痢: 31.5%
- 嘔吐: 24.8%
- 便秘: 24.0%
- 腹痛: 報告あり
副作用による投与中止率は7.0%でした。
(Wilding JPH et al., N Engl J Med. 2021; PMID: 33567185)
SURMOUNT-1試験(チルゼパチド)の副作用データ
チルゼパチド各用量群で報告された主な消化器系副作用:
- 吐き気: 5mg群 24.6%、10mg群 33.3%、15mg群 31.0%
- 下痢: 5mg群 18.7%、10mg群 21.2%、15mg群 16.8%
- 便秘: 5mg群 17.1%、10mg群 17.1%、15mg群 11.7%
- 嘔吐: 報告あり
副作用による投与中止率は4.3〜7.1%(用量依存)でした。
(Jastreboff AM et al., N Engl J Med. 2022; PMID: 35658024)
SCALE試験(リラグルチド 3.0mg)の副作用データ
リラグルチド3.0mg群で報告された主な副作用:
- 吐き気: 39.3%
- 下痢: 20.9%
- 便秘: 19.4%
- 嘔吐: 15.7%
副作用による投与中止率は9.9%でした。
(Pi-Sunyer X et al., N Engl J Med. 2015; PMID: 26132939)
副作用の時間経過
GLP-1受容体作動薬の副作用は、治療開始からの時間経過とともに変化します。
ほとんどの消化器症状は一過性
ここで最も重要なポイントをお伝えします。GLP-1受容体作動薬の消化器系副作用の多くは、治療初期(特に開始から最初の4〜8週間)に集中し、その後軽減していく傾向があります。
体が薬剤に慣れていくにつれ、多くの方が副作用の軽減を実感されます。このため、治療開始時に副作用を経験したからといって、その状態がずっと続くわけではありません。
副作用が出やすいタイミング
- 治療開始時: 体が初めてGLP-1受容体作動薬に曝露されるため
- 増量時: 用量を上げるたびに一時的に症状が出る場合があります
- 食事内容によって: 高脂肪食や大量の食事後に症状が悪化しやすい
副作用別の詳細と対処法
各副作用の症状と具体的な対処法について、詳しく解説します。
1. 吐き気(悪心)
最も頻度の高い副作用であり、多くの方が最初に経験する症状です。
症状: 胃のむかつき、気持ち悪さ。食後に悪化しやすい。
対処法:
- 少量ずつ食べる: 1回の食事量を減らし、回数を増やしましょう(1日5〜6回の少量食)
- ゆっくり食べる: 早食いは吐き気を悪化させます。よく噛んで、ゆっくり食べることを意識してください
- 脂っこい食事を避ける: 高脂肪食は胃の負担になり、吐き気を引き起こしやすくなります
- 冷たい食べ物を試す: 温かい食べ物より冷たい食べ物の方が吐き気を起こしにくいことがあります
- 食後にすぐ横にならない: 食後30分は上体を起こした姿勢を維持してください
- 水分をこまめに摂る: 脱水は吐き気を悪化させます。少量ずつ、頻回に水分を摂りましょう
医師への相談が必要な場合: - 吐き気が2週間以上続く - 食事がほとんど摂れない - 嘔吐が頻回に起こる
2. 便秘
GLP-1受容体作動薬は胃腸の動きを遅くするため、便秘が起こりやすくなります。
対処法:
- 水分を十分に摂る: 1日1.5〜2リットルの水分摂取を目標にしてください
- 食物繊維を増やす: 野菜、果物、全粒穀物を積極的に摂りましょう。ただし、急激な増加は逆にお腹が張る原因になるため、段階的に増やしてください
- 適度な運動: ウォーキングなどの軽い運動は腸の動きを促進します
- 規則正しい食事リズム: 毎日同じ時間に食事を摂ることで、排便リズムを整えやすくなります
医師への相談が必要な場合: - 3日以上排便がない - 腹部の強い痛みや張りがある - 市販の便秘薬を使用しても改善しない
3. 下痢
一部の方に下痢が起こることがあります。治療初期に多く、通常は自然に改善します。
対処法:
- 水分補給を十分に: 下痢による脱水を防ぐため、水分とミネラルを十分に摂取してください
- 消化の良い食事を: おかゆ、うどん、バナナなど、消化に負担の少ない食事を心がけてください
- 刺激物を避ける: カフェイン、アルコール、辛い食べ物は下痢を悪化させる可能性があります
4. 嘔吐
吐き気がさらに進行して嘔吐に至ることがあります。
対処法:
- 吐き気の対処法と同様の食事上の工夫を行ってください
- 嘔吐後は、少量の水分から再開し、徐々に食事に戻してください
- 頻回の嘔吐がある場合は、脱水や電解質異常のリスクがあるため、速やかに医師にご相談ください
5. 腹痛・腹部膨満感
胃排出の遅延に伴い、お腹の張りや痛みを感じることがあります。
対処法:
- 食事量を減らし、ゆっくり食べる
- ガスを発生させやすい食品(豆類、炭酸飲料など)を控える
- 温かいタオルをお腹にあてる
重篤な副作用(まれ)
以下の副作用は頻度は低いものの、注意が必要です:
膵炎
症状: 激しい腹痛(特に上腹部)、背中への放散痛、嘔吐 対応: 上記の症状が出た場合は、直ちに投与を中止し、医療機関を受診してください
胆嚢疾患
症状: 右上腹部の痛み、発熱、黄疸 対応: 速やかに医療機関を受診してください
低血糖
GLP-1受容体作動薬単独では低血糖のリスクは低いですが、他の糖尿病治療薬(インスリン、SU薬など)と併用している場合は注意が必要です(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。
甲状腺への影響
動物実験で甲状腺C細胞腫瘍のリスクが報告されているため、甲状腺髄様がんの個人歴・家族歴がある方には使用できません(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。
副作用を最小限にする5つの原則
副作用のリスクを最小限に抑え、治療を安全に継続するための5つの原則をご紹介します。
原則1:段階的な用量増加を守る
すべてのGLP-1受容体作動薬は、低用量から開始して段階的に増量するプロトコルが設定されています。これは副作用を最小限に抑えるための重要な仕組みです。
例:オゼンピックの場合 - 1〜4週目:0.25mg - 5〜8週目:0.5mg - 9週目以降:必要に応じて1.0mg、2.0mgへ
絶対に自己判断で用量を変更しないでください。
原則2:食事の工夫
- 少量・頻回食(1日5〜6回)
- 高脂肪・高糖質の食事を避ける
- よく噛んで、ゆっくり食べる
- 食事量は「お腹が満たされた」と感じたらストップ
原則3:十分な水分摂取
1日1.5〜2リットルの水分を目標に。吐き気や下痢がある場合はさらに意識的に水分を摂ってください。
原則4:アルコールを控える
アルコールは消化器症状を悪化させる可能性があります。特に治療初期は控えることをお勧めします。詳しくはGLP-1とアルコール・食事制限をご覧ください。
原則5:医師との定期的なコミュニケーション
副作用の状況は定期的に医師に報告してください。用量の調整や他の薬剤への切り替えなど、適切な対応を受けることができます。noah™のオンライン診療では、いつでも医師にご相談いただけます。
副作用と効果のバランス
副作用について知ると不安になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、以下の点を理解しておくことが重要です:
- 臨床試験では副作用による中止率は4〜10%程度: つまり90%以上の方が治療を継続できています
- 消化器症状の多くは一過性: 治療初期に集中し、4〜8週間で軽減する傾向があります
- 段階的な増量で予防可能: 処方通りに低用量から始めることで、多くの副作用は管理可能です
- 効果と比較して: 10〜20%の体重減少という大きな効果と比較して、一時的な消化器症状は多くの方にとって許容範囲内です
よくある質問(FAQ)
以下に、患者様からよくいただくご質問とその回答をまとめました。
Q1. 副作用が出たら薬をやめるべきですか?
軽度の消化器症状は治療初期に多く見られる一般的な反応です。自己判断で中止せず、まずは医師にご相談ください。用量の調整や、症状への対処法のアドバイスを受けられます。
Q2. 副作用がない場合、薬が効いていないということですか?
いいえ、副作用がないことは問題ではありません。副作用の有無と治療効果は直接的な関連がありません。副作用がなく体重が減少していれば、理想的な状態です。
Q3. 市販の制吐剤や整腸剤を使ってもよいですか?
市販薬の併用については、必ず処方医にご確認ください。多くの場合は問題ありませんが、薬剤間の相互作用を確認する必要があります。
Q4. 妊娠を考えている場合、副作用はどうなりますか?
GLP-1受容体作動薬は妊娠中の使用が禁忌です。妊娠を計画している場合は、治療開始前に医師にお伝えください。一般的に、妊娠の少なくとも2ヶ月前には投与を中止することが推奨されます(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。
Q5. 長期的な副作用のリスクはありますか?
GLP-1受容体作動薬は比較的新しい肥満治療薬であり、超長期(10年以上)のデータは限られています。しかし、糖尿病治療薬としては10年以上の使用実績があり、重篤な長期副作用は現時点で大きな懸念とはなっていません(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。定期的な医師のフォローアップを受けることが重要です。
まとめ
GLP-1受容体作動薬の副作用は、正しい知識と対処法を持つことで、十分に管理可能です。
- 消化器系の副作用が最も一般的ですが、多くは治療初期の一過性の症状です
- 段階的な用量増加と食事の工夫で、副作用のリスクを最小限に抑えられます
- 90%以上の方が治療を継続できています
- 不安なことがあれば、いつでも医師に相談してください
GLP-1ダイエット全般についてはGLP-1ダイエットの完全ガイド()をご参照ください。
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本記事は医師監修のもと作成されています。最終更新:2026年4月 医師監修:金光 廣則 先生





