記事ID: JP-N-WL-07 更新日: 2026年4月
カテゴリ: メディカルダイエット / GLP-1
⚠️ 医療に関する注意事項 本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスを構成するものではありません。個人の結果は臨床試験データとは異なる場合があります。GLP-1受容体作動薬の使用については、必ず医師にご相談ください。
はじめに
「GLP-1で実際に何キロ痩せるの?」——これはメディカルダイエットを検討する方が最も知りたい質問の一つです。
ネット上にはさまざまな口コミや体験談が溢れていますが、最も信頼できるのは大規模臨床試験のデータです。数千人規模の参加者を対象に、厳格なプロトコルのもとで実施された試験結果は、薬剤の実力を客観的に示してくれます。
本記事では、3つの主要な臨床試験(STEP 1、SURMOUNT-1、SCALE)のデータに基づき、GLP-1受容体作動薬の実際の減量効果を具体的な数字で解説します。
臨床試験データの見方
臨床試験の結果を正しく理解するために、まずデータの読み方を確認しましょう。
「体重減少率」とは
臨床試験では、効果を「○kg減った」ではなく「体重の○%減少した」という割合で表すことが一般的です。これは、同じ5kgの減量でも、体重60kgの方の5kgと体重100kgの方の5kgでは意味合いが大きく異なるためです。
具体的なキロ数の目安
以下の計算で、ご自身の場合の減量目安を算出できます:
現在の体重 × 体重減少率 = 予想される減量幅
例:体重80kgの方が14.9%の体重減少を達成した場合 80kg × 14.9% = 約11.9kgの減量
STEP 1試験:セマグルチド(オゼンピック®)の結果
STEP 1試験は、セマグルチドの体重減少効果を検証した代表的な臨床試験です。
試験概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験名 | STEP 1(Semaglutide Treatment Effect in People with Obesity) |
| 薬剤 | セマグルチド 2.4mg(週1回皮下注射) |
| 参加者数 | 1,961名 |
| 対象 | BMI 30以上、またはBMI 27以上で体重関連の合併症がある成人(糖尿病なし) |
| 期間 | 68週間(約1年4ヶ月) |
| 比較 | プラセボ + 生活習慣改善 |
主要結果
- セマグルチド群:平均14.9%の体重減少
- プラセボ群:平均2.4%の体重減少
(Wilding JPH et al., N Engl J Med. 2021; PMID: 33567185)
体重別の減量目安
| 現在の体重 | 14.9%減少した場合 | 減量後の体重 |
|---|---|---|
| 70kg | -10.4kg | 59.6kg |
| 80kg | -11.9kg | 68.1kg |
| 90kg | -13.4kg | 76.6kg |
| 100kg | -14.9kg | 85.1kg |
| 110kg | -16.4kg | 93.6kg |
達成率の分布
STEP 1試験では、セマグルチド群の参加者のうち:
- 86.4%が5%以上の体重減少を達成
- 69.1%が10%以上の体重減少を達成
- 50.5%が15%以上の体重減少を達成
(PMID: 33567185)
つまり、約7割の方が体重の10%以上を減量し、約半数の方が15%以上の減量に成功しています。
SURMOUNT-1試験:チルゼパチド(マンジャロ®)の結果
SURMOUNT-1試験は、チルゼパチドの体重減少効果を評価した画期的な臨床試験です。
試験概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験名 | SURMOUNT-1 |
| 薬剤 | チルゼパチド 5mg / 10mg / 15mg(週1回皮下注射) |
| 参加者数 | 2,539名 |
| 対象 | BMI 30以上、またはBMI 27以上で体重関連の合併症がある成人(糖尿病なし) |
| 期間 | 72週間(約1年5ヶ月) |
| 比較 | プラセボ + 生活習慣改善 |
主要結果(用量別)
| 用量 | 平均体重減少率 |
|---|---|
| 5mg | -15.0% |
| 10mg | -19.5% |
| 15mg | -20.9% |
| プラセボ | -3.1% |
(Jastreboff AM et al., N Engl J Med. 2022; PMID: 35658024)
体重別の減量目安(15mg投与の場合)
| 現在の体重 | 20.9%減少した場合 | 減量後の体重 |
|---|---|---|
| 70kg | -14.6kg | 55.4kg |
| 80kg | -16.7kg | 63.3kg |
| 90kg | -18.8kg | 71.2kg |
| 100kg | -20.9kg | 79.1kg |
| 110kg | -23.0kg | 87.0kg |
達成率の分布(15mg群)
- 約91%が5%以上の体重減少を達成
- 約79%が10%以上の体重減少を達成
- 約57%が20%以上の体重減少を達成
(PMID: 35658024)
SCALE試験:リラグルチド(サクセンダ®)の結果
SCALE試験は、リラグルチドの肥満治療における効果を検証した大規模臨床試験です。
試験概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験名 | SCALE(Satiety and Clinical Adiposity — Liraglutide Evidence) |
| 薬剤 | リラグルチド 3.0mg(毎日皮下注射) |
| 参加者数 | 3,731名 |
| 対象 | BMI 30以上、またはBMI 27以上で合併症のある成人(糖尿病なし) |
| 期間 | 56週間(約1年1ヶ月) |
| 比較 | プラセボ + 生活習慣改善 |
主要結果
- リラグルチド群:平均8.0%の体重減少
- プラセボ群:平均2.6%の体重減少
(Pi-Sunyer X et al., N Engl J Med. 2015; PMID: 26132939)
体重別の減量目安
| 現在の体重 | 8.0%減少した場合 | 減量後の体重 |
|---|---|---|
| 70kg | -5.6kg | 64.4kg |
| 80kg | -6.4kg | 73.6kg |
| 90kg | -7.2kg | 82.8kg |
| 100kg | -8.0kg | 92.0kg |
| 110kg | -8.8kg | 101.2kg |
達成率の分布
- 約63.2%が5%以上の体重減少を達成
- 約33.1%が10%以上の体重減少を達成
(PMID: 26132939)
3薬剤の効果比較まとめ
| 薬剤 | 試験 | 期間 | 平均減量率 | 5%以上達成率 | 10%以上達成率 |
|---|---|---|---|---|---|
| チルゼパチド 15mg | SURMOUNT-1 | 72週 | -20.9% | ~91% | ~79% |
| セマグルチド 2.4mg | STEP 1 | 68週 | -14.9% | ~86% | ~69% |
| リラグルチド 3.0mg | SCALE | 56週 | -8.0% | ~63% | ~33% |
注意: 各試験は対象者の基準、併用する生活習慣介入の内容、試験期間が異なるため、厳密な直接比較はできません。あくまで参考値としてご理解ください。
効果に影響する要因
臨床試験のデータは平均値であり、個人の結果は異なります。効果に影響を与える主な要因は以下の通りです:
1. 開始時のBMI
一般的に、開始時のBMIが高い方ほど、絶対的なキロ数での減量は大きくなる傾向があります。
2. 生活習慣の併用
すべての臨床試験で、薬剤投与に加えて生活習慣の改善(食事管理、運動指導)が併用されています。薬剤だけに頼るのではなく、食事と運動を組み合わせることで、最大の効果が得られます。
3. 治療の継続期間
効果は時間とともに増大し、多くの場合6〜12ヶ月で最大効果に近づきます。途中で中断すると、最大の効果を得られない可能性があります。
4. 用量
適切な用量まで増量することが、最大の効果を得るために重要です。副作用とのバランスを見ながら、医師と相談して用量を調整してください。
5. 個人差
遺伝的な要因や基礎代謝の違いにより、同じ薬剤でも効果には個人差があります。
効果のタイムライン
GLP-1受容体作動薬による体重減少は、段階的に進みます。一般的な経過をご説明します。
一般的な体重変化の経過
| 期間 | 期待される変化 |
|---|---|
| 1〜2週間 | 食欲の減少を実感。体重変化はまだ小さい |
| 1ヶ月 | 1〜3kgの体重減少が始まる |
| 3ヶ月 | 3〜8kgの減少。見た目にも変化が現れ始める |
| 6ヶ月 | 最大効果の60〜80%程度に到達 |
| 9〜12ヶ月 | 最大効果に近づく。多くの方が目標の大部分を達成 |
「5%の壁」の意味
体重の5%の減少は、医学的に意味のある閾値とされています。この水準の減量で、以下のような健康上の改善が期待できます(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく):
- 血糖値の改善
- 血圧の低下
- コレステロール値の改善
- 睡眠時無呼吸の改善
- 関節への負担の軽減
現実的な期待値の設定
治療効果には個人差があり、臨床試験と同じ結果が得られるとは限りません。現実的な期待値を理解しておくことが大切です。
臨床試験と実臨床の違い
臨床試験のデータは、以下の条件下で得られたものです:
- 厳格な参加基準: 一定の健康状態の方のみが参加
- 定期的な管理: 研究チームによる頻繁なフォローアップ
- 生活習慣の指導: 食事・運動のカウンセリング付き
- 高いアドヒアランス: 服薬遵守率が高い環境
実際の治療では、これらの条件が完全には揃わないことも多いため、臨床試験データの80〜90%程度の効果を目安にすることが現実的です。
健康的な目標設定
- 最初の目標: 体重の5%減少(医学的に意味のある減量)
- 次の目標: 体重の10%減少(大きな健康改善が期待できる)
- 理想的な目標: 体重の15%以上の減少(臨床試験の平均的な効果)
よくある質問(FAQ)
以下に、患者様からよくいただくご質問とその回答をまとめました。
Q1. 臨床試験ほど痩せない場合もありますか?
はい、臨床試験の結果は平均値であり、個人差があります。参加者の中にも、平均以下の結果だった方もいます。効果が十分でない場合は、用量の調整や薬剤の変更を医師と相談してください。
Q2. 効果はいつから実感できますか?
多くの方が1〜2週間で食欲の変化を実感されます。体重の変化としては、1ヶ月で1〜3kg程度の減少から始まることが一般的です。
Q3. 途中で体重が減らなくなること(プラトー)はありますか?
はい、体重減少が一時的に停滞する時期はあり得ます。これは体の代謝が適応する正常な反応です。このような場合は、食事内容の見直しや運動量の調整が効果的です。
Q4. BMIが低めでも効果はありますか?
臨床試験はBMI 27以上(合併症あり)またはBMI 30以上の方を対象としています。BMIが低い方への効果と安全性のデータは限られているため、医師とよく相談してください。
Q5. 食事制限をしなくても痩せますか?
GLP-1受容体作動薬は食欲を自然に抑制するため、厳格な食事制限なしでも体重減少が期待できます。ただし、臨床試験ではすべて生活習慣改善(食事指導を含む)が併用されています。最大の効果を得るためには、バランスの良い食事を心がけることをお勧めします。
まとめ
大規模臨床試験のデータに基づく、GLP-1受容体作動薬の減量効果は以下の通りです:
- チルゼパチド(マンジャロ®): 平均20.9%の体重減少(72週間)
- セマグルチド(オゼンピック®): 平均14.9%の体重減少(68週間)
- リラグルチド(サクセンダ®): 平均8.0%の体重減少(56週間)
これらは科学的に実証された数字であり、従来のダイエット方法では難しかった水準の減量が期待できます。ただし、効果には個人差があり、生活習慣の改善を併用することが最大の効果を得るカギです。
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GLP-1ダイエット全般についてはGLP-1ダイエットの完全ガイド()をご参照ください。
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本記事は医師監修のもと作成されています。最終更新:2026年4月 医師監修:金光 廣則 先生





