この記事のまとめ
ED(勃起不全)は、20〜79歳の日本人男性の約3割にみられる一般的な症状です。
主な原因は血管障害・糖尿病などの身体的要因、ストレス・不安などの心理的要因、そして生活習慣の乱れに分類されます。第一選択薬であるPDE5阻害薬(シルデナフィル・タダラフィル・バルデナフィル)による治療で多くの方に改善が期待でき、現在はオンライン診療を通じて自宅から処方を受けることも可能です。本記事では、EDの原因から治療薬の比較、費用、オンライン診療の活用法まで、網羅的に解説します。効果には個人差があります。
1 EDとは?定義と日本における実態
ED(Erectile Dysfunction:勃起不全)とは、「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、または維持できない状態が持続すること」と定義されています¹。完全に勃起しない場合だけでなく、硬さが不十分な場合や、途中で萎えてしまう場合もEDに含まれます。
日本におけるEDの有病率
日本性機能学会が2023年に実施した25年ぶりの全国調査によると、20〜79歳の日本人男性におけるEDの有病率は30.9%(勃起硬度スコア=EHS基準)であり、推定有病者数は約1,400万人に達することが明らかになりました²。これは1998年の前回調査(約1,130万人)³から約270万人の増加です。
特に注目すべきは、若年層(20〜24歳)においても性機能の低下が報告されている点です²。EDは「高齢者の問題」ではなく、あらゆる年代の男性に起こりうる症状です。
にもかかわらず、EDについて医療機関を受診する方はごくわずかです。恥ずかしさや「年齢のせい」という思い込みが受診の障壁となっていますが、EDは多くの場合、適切な治療により改善が期待できる症状です。
2 EDの原因:身体的・心理的・生活習慣
EDの原因は大きく3つのカテゴリーに分けられます。多くの場合、複数の要因が重なって発症します。
身体的(器質的)原因
勃起は血管・神経・ホルモンの複雑な連携で起こるため、これらに影響する疾患はEDのリスク因子となります。
血管障害(動脈硬化) 陰茎への血流が不十分になる、最も一般的な器質的原因です⁴。 糖尿病 血管・神経双方にダメージを与え、糖尿病患者のED有病率は35〜75%と報告されています⁵。 高血圧 血管内皮機能の低下を通じてEDリスクを高めます⁴。 脂質異常症 動脈硬化を促進し、陰茎の微小血管にも影響を及ぼします。 心血管疾患 EDは心血管イベントの早期警告サインとなる場合があります⁶。 神経疾患 脊髄損傷、多発性硬化症、パーキンソン病など。 テストステロン低下 加齢に伴う男性ホルモンの減少(LOH症候群)。
日本人中年男性を対象とした研究では、心疾患・糖尿病・慢性腎不全・高血圧の存在がEDリスクを有意に高めることが示されています⁵。
心理的原因
特に若年層のEDでは、心理的要因が主因となるケースが少なくありません。
ストレス・過労 仕事や人間関係のプレッシャーが自律神経のバランスを崩します。 パフォーマンス不安 「うまくいかなかったらどうしよう」という不安が悪循環を生みます。 うつ・不安障害 精神疾患そのものがEDの原因となり、治療薬の副作用でEDが生じることもあります。 パートナーとの関係性の問題 コミュニケーション不足や性的な不一致。
心理的EDの特徴として、朝勃ちは正常であったり、特定の状況でのみ症状が現れることが多いです。
生活習慣
日々の生活習慣はED発症に大きく関与します。逆に言えば、生活習慣の改善がED改善につながる可能性もあります。
喫煙 血管内皮機能を障害し、EDリスクを約1.5〜2倍に高めます⁷。 過度な飲酒 慢性的な大量飲酒はテストステロン低下と神経障害を引き起こします。 運動不足 有酸素運動の不足は血管機能の低下に直結します。 肥満 BMIの上昇はED有病率と正の相関を示します⁸。 睡眠不足 テストステロンの分泌に悪影響を与えます。
3 EDの種類:器質性・心因性・混合型・薬剤性
EDは発症メカニズムによって、以下の4つに分類されます。正確な分類は、適切な治療方針を決める上で重要です。
器質性ED 血管・神経・ホルモンなどの身体的な異常が原因で起こるEDです。加齢とともに増加し、40代以降の方に多く見られます。動脈硬化に起因する血管性EDが最も一般的です⁴。 心因性ED 身体的には問題がないにもかかわらず、心理的な要因で勃起が困難になるタイプです。20〜30代の若年層に比較的多く、ストレス・不安・トラウマなどが原因となります。 混合型ED 器質的要因と心因性要因の両方が関与するタイプで、実際の臨床ではこの混合型が最も多いとされています⁹。例えば、軽度の血管障害に加えてパフォーマンス不安が重なるケースなどが該当します。 薬剤性ED 服用中の薬の副作用としてEDが生じるケースです。
以下の薬剤が関連することが知られています⁹。
降圧薬(特にβ遮断薬、サイアザイド系利尿薬) 抗うつ薬(SSRI、三環系抗うつ薬) 抗アンドロゲン薬 向精神薬 一部の胃腸薬(H2ブロッカーなど)
自己判断で中止しないでください 薬剤性EDが疑われる場合は、自己判断で服薬を中止せず、必ず処方医に相談してください。
4 ED治療薬の比較:シルデナフィル・タダラフィル・バルデナフィル
ED治療の第一選択薬はPDE5阻害薬です。日本では3種類のPDE5阻害薬が承認されており、いずれも性的刺激がある場合に勃起を補助する薬剤です¹⁰。PDE5阻害薬はプラセボと比較して有意に勃起機能を改善することが、複数のメタアナリシスで示されています¹¹ ¹²。
ED治療薬 比較表
シルデナフィル(バイアグラ) 承認用量は25mg/50mg。効果発現は約30〜60分、作用持続時間は約4〜5時間。高脂肪食で吸収が遅延します。最も使用実績が豊富です。 タダラフィル(シアリス) 承認用量は5mg/10mg/20mg。効果発現は約30〜60分、作用持続時間は約24〜36時間。食事の影響を受けにくく、長時間作用のため計画性は不要です。 バルデナフィル(レビトラ) 承認用量は5mg/10mg/20mg。効果発現は約15〜30分、作用持続時間は約4〜5時間。高脂肪食で吸収が遅延します。効果発現が比較的速いのが特徴です。
出典:各薬剤の添付文書およびHatzimouratidis K, et al.¹⁰、Tsertsvadze A, et al.¹¹
各薬剤の特徴
シルデナフィル(バイアグラ) 1999年に日本で承認された最初のPDE5阻害薬です。世界で最も使用実績が豊富であり、効果と安全性に関する臨床データが最も充実しています¹⁰。ジェネリック医薬品も利用可能で、比較的手頃な価格で入手できます。食前または軽食後の服用が推奨されます。 タダラフィル(シアリス) 最大の特徴は、最長36時間という長い作用持続時間です¹³。「週末薬」とも呼ばれ、服用のタイミングを細かく気にする必要がありません。食事の影響を受けにくい点も利便性が高いです。また、5mgを毎日服用する方法(デイリータダラフィル)もあり、性行為のタイミングを選ばない継続的な改善が期待できます¹³。 バルデナフィル(レビトラ) 効果発現が比較的速い(約15〜30分)ことが特徴です¹⁰。糖尿病を有する方にも効果が期待できることが臨床試験で報告されています¹⁴。食事の影響を受けるため、空腹時の服用が推奨されます。
共通の注意事項
硝酸薬との併用は禁忌です 硝酸薬(ニトログリセリンなど)との併用は禁忌です。急激な血圧低下を引き起こす危険があります¹⁰。
主な副作用:頭痛、ほてり、鼻づまり、消化不良(いずれも軽度で一過性であることが多い)¹⁵ 心血管疾患のある方は、性行為そのものの安全性も含めて医師に相談してください。 性的刺激がなければ作用しません(「飲むだけで勃起する薬」ではありません)。
どの薬剤が自分に合うかは、生活スタイル・基礎疾患・服用中の薬との相互作用などを考慮して、医師と相談の上で決定することが大切です。
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5 オンライン診療でED治療を受ける方法
ED治療におけるオンライン診療の活用について、基本的な仕組みから具体的な受診の流れまでご説明します。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンを使って、ビデオ通話などで医師の診察を受ける方法です。厚生労働省は「オンライン診療の適切な実施に関する指針」¹⁶を策定し、安全で適切なオンライン診療の普及を推進しています。
ED治療は、オンライン診療との相性が非常に良い領域です。その理由は以下のとおりです。
問診が診断の中心 EDの診断は主に問診に基づいて行われるため、対面での身体検査が必須ではないケースが多くあります。 処方薬が確立している PDE5阻害薬は長年の使用実績があり、処方の判断基準が明確です。 プライバシーの確保 「待合室で人に見られたくない」という心理的障壁がなくなります。 継続しやすい 定期的な通院の負担がなく、治療を続けやすくなります。
オンライン診療の流れ
1 Web問診 症状、既往歴、服用中の薬などを入力します。 2 医師による診察 ビデオ通話で医師が問診内容を確認し、治療方針を決定します。 3 処方 適切な薬剤が処方されます。 4 薬の配送 自宅にお薬が届きます(最短翌日配送のサービスもあります)。
ノアでは、オンラインで医師の診察を受け、ED治療薬の処方から自宅への配送まで完結できます。初回の診察はビデオ通話で約5分、再診はビデオまたはチャットです。対面での受診に抵抗がある方や、忙しくて通院の時間が取れない方にとって、選択肢の一つとなります。
オンライン診療と対面診療の使い分け
以下の場合は、対面診療を優先することが推奨されます。
重度の心血管疾患が疑われる場合 複数の基礎疾患がある場合 身体的な診察(外性器の診察・血液検査など)が必要な場合 オンラインでは十分な情報収集が困難と医師が判断した場合
オンライン診療は便利ですが、必要に応じて対面診療への切り替えを医師が判断する場合もあります。厚生労働省の指針¹⁶に基づき、患者の安全を最優先とした運用がなされています。
6 ED治療の費用と保険適用について
ED治療にかかる費用や保険適用の有無について、患者様が気になるポイントを整理してご案内します。
保険適用について
ED治療は原則として自費診療(自由診療)です。健康保険が適用されないため、診察料・薬代ともに全額自己負担となります。
ただし、2022年4月より、不妊治療を目的とする場合に限り、一部のED治療薬(タダラフィル等)が保険適用となるケースがあります¹⁷。該当する方は、不妊治療専門の医療機関にご相談ください。
ノアの場合の費用
診察料 初診・再診ともに無料です。 お薬代 医師が処方した場合のみ。1錠あたり¥107〜(毎日服用タイプ・12か月プランの場合)。 配送料 全国送料無料です。
価格は税込です。自由診療(公的医療保険適用外)です。
コストを抑えるポイント
ジェネリック医薬品の利用 先発品と同一の有効成分で、より手頃な価格で利用できます。 オンライン診療の活用 通院にかかる交通費・時間を節約できます。 まとめ処方 一定数をまとめて処方してもらうことで、1回あたりのコストを抑えられる場合があります。
毎日飲むか、必要なときだけか。 1錠あたり¥107〜(税込)。お薬代は医師が処方した場合のみです。自由診療(公的医療保険適用外)です。
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7 生活習慣の改善によるED対策
薬物治療と並行して、以下の生活習慣の改善がEDの予防・改善に寄与する可能性があります⁸。
運動 週150分以上の中等度の有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)が、血管内皮機能の改善とEDリスクの低減に関連することが報告されています⁸。 食事 地中海式食事法(野菜・果物・魚・オリーブオイル中心)がED改善と関連するという研究があります。バランスの良い食事は、血管の健康を維持する基盤です。 禁煙 喫煙は血管内皮機能を直接障害します。禁煙後、血管機能の改善に伴いED症状が改善する可能性があります⁷。 適正飲酒 少量〜中等量の飲酒はEDリスクを高めないとする報告もありますが、慢性的な大量飲酒は明らかなリスク因子です。 ストレス管理 十分な睡眠の確保、リラクゼーション法の実践、必要に応じたカウンセリングの利用などが推奨されます。
ゆっくり1回、呼吸してみる タップして、円に合わせて呼吸してください。
8 ED治療を始める前に知っておきたいこと
ED治療をスムーズに始めるために、事前に把握しておきたい重要なポイントをまとめました。
受診のタイミング
「たまにうまくいかない」程度であっても、繰り返し症状がある場合は受診を検討してください。EDは基礎疾患(糖尿病・心血管疾患など)の初期サインである場合もあるため⁶、早めの相談が重要です。
相談時に伝えるべきこと
症状の頻度と程度 いつ頃から症状があるか 現在の服薬状況(すべての薬・サプリメント) 既往歴(糖尿病、高血圧、心疾患など) 喫煙・飲酒習慣 精神的なストレスの有無
パートナーとのコミュニケーション
EDはパートナーとの関係にも影響する問題です。可能であれば、パートナーと率直に話し合うことが、治療への前向きな姿勢と良好な結果につながることが多いです。
9 よくある質問
EDは何歳くらいから発症しますか? EDはあらゆる年齢で発症する可能性があります。日本の全国調査では、20〜24歳の男性にも性機能の低下が報告されています²。ただし、年齢とともに有病率は上昇し、50代で約20%、60代では約40%以上の方がEDの症状を経験するとされています³。
EDは改善しますか? EDの原因や程度によって異なりますが、多くの場合、適切な治療により症状の改善が期待できます。PDE5阻害薬は60〜70%以上の方に有効とされています¹¹。心因性EDの場合は、カウンセリングや心理療法の併用でさらに効果が高まることがあります。効果には個人差があります。
ED治療薬の副作用が心配です。 PDE5阻害薬は世界中で20年以上の使用実績があり、安全性に関するエビデンスは十分に蓄積されています¹⁵。主な副作用は頭痛、顔のほてり、鼻づまり、消化不良などで、多くは軽度かつ一過性です。ただし、硝酸薬を使用中の方は使用できません。必ず医師の診察を受けてから使用してください。
ED治療薬は毎日飲む必要がありますか? 必ずしも毎日服用する必要はありません。シルデナフィルやバルデナフィルは、性行為の前に服用する「オンデマンド型」が基本です。タダラフィルには5mgを毎日服用する「デイリー型」もあり、行為のタイミングを気にせず過ごしたい方に向いています¹³。ライフスタイルに合わせて医師と相談してください。
食事やアルコールはED治療薬の効果に影響しますか? シルデナフィルとバルデナフィルは、高脂肪食によって吸収が遅延する場合があります。空腹時または軽食後の服用が推奨されます。タダラフィルは食事の影響を受けにくいとされています¹⁰。アルコールの少量摂取は大きな影響はありませんが、過度な飲酒は勃起機能そのものを低下させるため、控えめにすることをお勧めします。
オンライン診療でED治療薬を処方してもらえますか? はい、オンライン診療でED治療薬の処方を受けることが可能です。厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」¹⁶に基づき、医師の診察を経て適切と判断された場合に処方されます。ノアをはじめとするオンライン診療サービスでは、問診から処方・配送まで自宅で完結できます。
ED治療に保険は使えますか? ED治療は原則として自費診療(自由診療)となり、健康保険は適用されません。ただし、不妊治療を目的とする場合に限り、2022年4月から一部のED治療薬に保険が適用される場合があります¹⁷。詳しくは医療機関にお問い合わせください。
ED治療薬を飲むと依存性はありますか? PDE5阻害薬には薬理学的な依存性はありません¹⁰。服用を中止しても禁断症状は生じません。ただし、心理的に「薬がないと不安」という状態になる方もいます。このような場合は、カウンセリングの併用や、段階的な減薬について医師にご相談ください。
EDと生活習慣病の関係を教えてください。 EDと生活習慣病には密接な関係があります。糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満はいずれもEDの独立したリスク因子です⁵ ⁶。特にEDは動脈硬化の初期サインとなる場合があり、ED症状をきっかけに心血管疾患が発見されるケースもあります。EDの相談が、全身の健康管理につながることもあります。
パートナーに内緒でED治療を受けることはできますか? オンライン診療を利用すれば、プライバシーが確保された環境で受診できます。ノアでは、お薬を中身が分からない梱包でお届けします。ただし、可能であればパートナーとの共有が、治療へのモチベーションや関係性の改善につながることも多いです。
10 まとめ
EDは20〜79歳の日本人男性の約3割にみられる、非常に身近な症状であり、決して恥ずかしいことではありません。原因は身体的なものから心理的なものまで幅広く、その多くは適切な治療で改善が期待できます。
PDE5阻害薬(シルデナフィル・タダラフィル・バルデナフィル)は、世界中で長年にわたり使用されてきた、有効性と安全性に関するエビデンスが豊富な治療薬です。どの薬剤が適しているかは個人差がありますので、医師と相談の上で選択してください。
現在はオンライン診療の普及により、自宅にいながら医師の診察を受け、治療薬の処方から配送まで完結することが可能です。「なかなか病院に行く勇気が出ない」という方も、まずはオンラインでの相談から始めてみてはいかがでしょうか。
EDは治療できる症状です。一人で悩まず、一歩を踏み出してみてください。
11 免責事項・参考文献
医療に関する免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医学的助言を行うものではありません。EDの症状がある場合は、必ず医師の診察を受けてください。本記事の内容は医師監修のもと作成されていますが、個々の状況に応じた診断・治療の代替となるものではありません。治療薬の使用にあたっては、必ず処方医の指示に従ってください。
本記事で紹介している治療薬の効果・副作用に関する記載は、添付文書および公表された臨床試験データに基づいています。個人の状態により効果には差があり、すべての方に同一の効果を保証するものではありません。
参考文献
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執筆:ノア編集部 · 医学監修:ノアの医師 · 最終更新:2026年4月7日